「もう着いたって……。また学校サボったのかよ。まあ良いや。俺らももう着くよ。ああ、んじゃ」

　秀人は何度か受け答えした後、通話を終了させて私たちの方に向き直る。

「鏡司、もうマンションの前に居るってさ」

　秀人は言いながらマンションの方に視線を移した。

　まだ入口まで見えないから鏡司の姿は確認出来ないけど、マンションは眼前に迫っている。

　鏡司が待っているという事で、自然に歩くペースが速まった。

「おめえら遅えよ。早く着替えて買いに行くぞ」

　マンションの入口が見える位置まで来た時、鏡司が気付いて話しかけてきた。

「おめえが早過ぎんだよ。俺らはおめえと違って真面目に学校行ってんだから」

　大樹は即座に突っ込む。

「失礼な。俺も昼まで行ったし」

　鏡司は軽く笑いながらエレベーターの前まで歩いて行き、上りボタンを押した。

　すぐに扉が開き、私たちが乗り込むのを待つ鏡司。

「昼までって、お前いつから待ってんだよ？」

　大樹はエレベーターに乗りながら質問する。

　鏡司が「ついさっき」と答えると、大樹は「なら早退した意味ねえじゃねえかよ」と再び突っ込みを入れていた。

　そんなやり取りをしているうちにエレベーターが到着し、私たちは部屋に向かう。