学校に到着すると、茜が気付いて私たちの席の方に歩いてくる。

 相当心配してくれてた様子の茜は、私が口を開くより前に昨日何があったかを聞いてきた。

 私は昨日の事とそれに至るまでのいきさつ順序だてて説明する。

「やっぱそうだったんだあ。本当あいつは……。一発ガツンと言ってやんないと」

 全ての説明が終わるまで黙って聞いてくれていた茜は、一瞬考えるような仕草をした後、右手を額に当てて首を横に振った。

「ハハ。一発言ったくらいじゃ治んねえけどな。まあ一昨日の様子なら大丈夫だとは思うけど」

 私は一昨日のバカ西の様子を思い出して返事をする。

 ちょうどその時、話題に上がっている当本人のバカ西が視界に入ってきた。

 眠そうな顔で登校してきたバカ西は教室内を見渡すと、私たちの方で視線を止め、こっちに歩いてくる。

 大樹たちと話をしにきたのかと思ったが、バカ西は二人に軽く挨拶をすると私と茜に向き直った。

 そして私たちにも挨拶をし、気まずそうな表情で話し始める。

「おっす。えっと……、美咲から聞いてるとは思うけど、今回の件ではお前にも迷惑かけちまって……、その……、悪かった。ごめんな」

 バカ西は言葉を詰まらせて頭を掻いている。

 すると茜は呆れたような表情で口を開いた。