それにしても酷い怪我。目は充血してて顔全体が腫れ上がっている。

 散々痛め付けられたであろう身体は泥まみれになっていて、肌が見えている部分は、至る所に切り傷がついていた。

 私は手に持ったタオルで秀人の身体を優しく拭いていく。

 何で秀人がこんな目に。本当、私のせいだ。私が秀人を巻き込んだりしなければ、こんな事にはならなかった。

 秀人の姿を見て、堪えていた涙が零れそうになる。

「なあ美咲、何で秀人がこんな事したか分かるか?」

 おおよそ身体を拭き終わった頃に大樹が口を開いた。

 何でって、分からない。大樹は分かってんのかな?

「分かんない。何で……。何でこんな事……」

 私はタオルを脇に置いて消毒液を取り出す。

「秀人はさ。お前が何しようとしてたか気付いてたんだよ。だから自分が先に行った。この意味、分かるか?」

 諭すように優しく聞いてくる大樹。

 つまり私を止めるため? 秀人は私の考えてる事なんて、全部お見通しだったって事か。

 それで私に一人で無茶する事の無意味さを分からせる為だけにこんな真似を……。それだけの為にここまでボロボロんなるまでやられて。

 要するに私のせいで、秀人はこんな事したんだ。私が口で言っても聞かないから。