『おう、どうした? 何かあったのか?』

 大樹は何故か焦ったような声で電話に出た。

 それでも、あんな態度を取っていた私に普通に接してくれる。

「秀人が……」

 やっぱり俄かには信じ難くて言葉に詰まってしまう。

『秀人って、まさか……?』

 大樹の声はより一層、緊迫感を増した。まさかってどういう意味だろ。大樹は何かしら勘づいてんのかな。

「やられたって……。バカ西に」

 私は半信半疑だった現実を段々と受け入れ始め、逆に動揺して上手く言葉に出来ない。

『マジかよ、あいつ。やっぱりか。つか美咲、今何処に居んだ? 俺も行くから場所教えてくれ』

 やはり大樹は勘づいていたらしい。私があんな態度取ってる間に何かのやり取りがあったんだろうか?

「場所は市民公園前駅を北に行って二本目を右に曲がった先の駐車場。私も今から家、出るとこ」

 私はバカ西から聞いた場所を伝えた。

『へっ? 家に居んの? じゃあ何で秀人の事分かったんだ?』