(大樹視点)
* * *
静まり返った教室内。教科担任が休みで、二時限目は化学から現国に変わった。
基本的に現国の授業は寝てるか漫画を読んでる奴が多い。
俺は手にした漫画を読む訳でもなく、ボーッと窓の外を眺めていた。薄暗い空からは、糸のように細い雨粒が無数に落ちてきている。
今日は一日雨だろうな、と思いながらさっきの休み時間の光景を思い出した。
突然の美咲の変貌。『二度と私に話し掛けんな』か……。
恐らく晃が原因だろうな。晃の方から美咲に電話したってのは考えにくいから、美咲の方から連絡したんだろう。
水曜に秀人ん家で話してた時も自分のせいだとか言って気にしてたし、それから大して日も経たず金曜にあいつらが来ただろ。何かしら責任感じたんだろうな。
ったく。気にすんなっつってんのに。
とにかく、美咲が何言って晃から何て言われたかは分かんねえけど、もっかい晃に話しねえとな。出るとは思えねえけど、電話してみっか。
そんな事を考えながら漫画を閉じて机に突っ伏す。
しばらくそのまま考え事に集中していると、程なくして授業終了を知らせるチャイムが鳴り響き、直後に秀人が話し掛けてきた。