みんなごめん。私のせいで。

 ただ、良いように解釈すれば、当分私しか狙わない訳だ。その間にどうするか考える事も出来る。絶対に誰にも手出しはさせない。

 本当は一人でバカ西んとこ行って、どんだけボコボコにされても良いから気の済むまで殴ってもらって、それであいつが満足して解決出来るならそれで良いと思ってた。

 でも私は女な訳で。ボコられた後にヤられるかもしれない。それを考えると行けなかった。

――混乱する頭を整理しながらひたすら煙草を吸い続ける私。気が付くと灰皿がいっぱいになっていた。

 なんだかドッと疲れてしまった私は、灰皿を片付けるとシャワーだけ浴びて仮眠を取る事にした。

 その時に見た夢は、みんなでバカ騒ぎして盛り上がっている、幸せな夢だった。

 もう叶わないかもしれない夢。たとえ夢でも、見る事が出来て良かった。



     * * *



「美咲。おい、美咲ってば。何、そんなに焦ってんだよ」

 秀人の声に私は動きを止めて振り返る。

 あれから一夜明けた日曜。日が長くなって、五時を過ぎても外は明るい。

 夕方でバイトが終わった私たちは、一緒に夜メシを食う約束をしていた。

 バイトが終わってすぐに秀人に誘われたのである。

 初めは断るつもりだったけど、これが最後かもしれない。明日から私は秀人たちと距離をおくつもりだ。近くに居るって事は、それだけ危険も近くなるって事だから。

 だから最後くらい楽しく過ごしたい……。そう思ってOKした。

 少しでも長く一緒に居たくて、逸る気持ちが私の動きを速める。