『で?』

 予想以上に短い一言で返され、何の時間稼ぎにもなっていない。

「お前は知らねえと思うけど、昨日また来たんだよ。お前が差し向けた奴らの仲間が。そん時に言ってたよ。水曜にお前が一緒に居たって事。別にそれを咎めるつもりでかけたんじゃねえからな。用件は別」

 とりあえずバカ西が話を聞いてくれそうだったから、ズバリ言ってみる事にした。

『へえ。で、俺が犯人って分かって、その話じゃなけりゃ何?』

 随分とまあ余裕だな。何か秘策でもあんのか? 大樹が屋上で、お前の名前が出たら容赦しねえとか言ってた時は黙り込んでたくらいなのに。

 まっ、この調子なら普通に話しても大丈夫そうだな。

「お前さ、ムカついてんのは私だろ? だったら私だけ狙えば良いじゃん。秀人や大樹は関係ねえだろ」

 私が言い終わる前にバカ西は笑い出した。

『アハハハハ。何それ。何、正義ヅラしてんだよ? お前がそんな玉か?』

 こいつ、マジうぜえ。

「悪かったな。別にそんなつもりじゃねえよ。とにかく、私には何しても良いから、あいつらには手え出すな」

 怒りを抑えつつ話したつもりだが、命令口調になってしまった。