「ん? つか大樹じゃん。久しぶりだな」

 男は立川を見てどことなく嬉しそうな表情をする。どうやら立川の知り合いらしい。

「おう、鏡司。久しぶり。つか、こいつらお前んトコの奴らだったんだ。まあ、こいつら別に悪い事してた訳じゃねえから、そう怒鳴るなって」

 立川は一瞬驚いたような表情をした後、苦笑混じりに呟いた。

「ああ。つか見た感じ、うちの奴らの方が劣勢じゃね? ……って、おいおい。ちょっと待てよ。直也、おめえ何、女に手え出してんだよ?」

 鏡司と呼ばれた男は私の隣に居る小柄な男を見て再び怒鳴り付ける。

「あっ、そいつ女っつっても男より強えから大丈夫だよ」

 小柄な男が返事をする前に立川が笑いながら口を挟んだ。

 つか、またそれですか。とりあえず今は突っ込む雰囲気でもねえし、まあ今回は流しておこう。立川に任せておいた方が丸くおさまりそうだし。

「マジで?」

 単車の男は驚いて私を見た。

 いや、全然マジじゃないですから。という突っ込みは心の中だけにしておく。

「お前より、相手した奴の方が驚いてんじゃねえか?」

 立川は小柄な男に視線を移す。単車の男も、その男に視線を戻した。