その隙に私は体勢を立て直し、左足を動かして感覚を確かめていると、男も体勢を立て直してこっちを向いた。

「何なんだ、お前。本当に女かよ。俺、男とやったってそう負けねえんだけど。むしろ喧嘩は結構自信あんだけどな。お前、マジ有り得ねえわ」

　男は、私がほとんど返事してないのを全く気にしていない様子で話し掛けてくる。

　つかそれより、今の男の動き、鈍くなかったか？

　蹴りにしても、連発で攻撃してきてる事を差し引いても、初めの蹴りより数段威力が劣っている。

　ひょっとして少しずつダメージが蓄積されてんだろうか？

　だったら――。

　私は素早く男の左膝下の側面に蹴りを入れて、相手が若干よろめいた瞬間、左こめかみに拳を入れた。

　男は少しフラフラとし始め、当然反撃はない。軽い脳震盪を起こしてるように見える。

　やっぱ少しずつでも効いてるっぽいな。

　このチャンスを逃すまいと、即座に左拳を鼻に入れ、右拳を左頬にぶち込んだ。

　男は本格的に足腰がフラついてきて、立っているのがキツそうになってきている。

　流れに乗って一気にいこうと思った時、突然スキンヘッドの男が私と相手の男の間に倒れ込んできた。