「ナメてねえよ。私としても男が相手の方がやりやすいし」

 私がわざとらしく笑って言うと、ますます怒りのボルテージを上げる男。

 この単純さ加減、あの子とは大違いだな。もしかしてもう一人の子の彼氏かな。

「お前、マジで俺の事ナメてんだろ?」

 同じ質問を繰り返す男。

 実際、ナメてなんかいない。男の方がやりやすいのは事実だし。

 本当はこいつとじゃなくて、立川が強えっつったあの四人とやりてえくらいだ。

 別に自信がある訳じゃないし、勝てるなんて思ってない。ただ、今回の事は私が蒔いた種。あいつらに任せっきりにしたくないだけだ。そう、別に私はやられたって良いんだから。それで相手の奴らの気が済むんなら。それで、秀人たちの負担を軽く出来るなら。

 何も出来ない自分がもどかしい。もし、あいつらに何かあったら私は……。

「全然ナメてねえよ。もう良いからとっととやんね?」

 とりあえず余分な事は考えないで目の前に集中する事にし、口を開いた。