「そっか。これから毎日見れんだよ？」

「ああ。そうだな。この街に帰ってきて本当に良かった。美咲にも会えたし」

　月明かりに照らされて、優しく微笑む秀人。

「ごめん。なんつった？」

　秀人の言葉がしっかり聞き取れなかった私は、聞き間違いでない事を祈りながら返答を待ったけど無駄だった。

「何でもねえよ。さっ、煙草も吸ったし、中に入るか」

　秀人は、先に部屋に戻ってしまう。仕方がないので、私もそれに続いた。

　部屋に戻ると、タイミングよくチャイムが鳴った。多分ピザ屋だろう。

　私は急いで鞄から財布を出し、玄関に向かう。

「はぁーい」

　急いで玄関に駆け寄るとピザ屋の兄ちゃんらしき声が聞こえた。

『ご注文頂きましたピザ、お届けに上がりました』

「ご苦労様です」

　私はドアを開けながら言う。

　お会計を済ませてピザを受け取ると、ピザ屋の兄ちゃんは、「ありがとうございました」の言葉と共に、とびっきりの営業スマイルを浮かべた。

「ありがとう」

　私も笑顔で応える。

　そして、ピザを抱えてリビングに戻った。