「だから、はずす気ねえって。それに仮にはずしたとしても根本的な解決にはなってねえじゃん。前からやってたなら尚更、私がダメなら次のターゲットってなんじゃね? 本当に止めたいなら、私じゃなくて香奈に言わねえと意味ねえだろ」

 私は思わず突っ込んだ。つか、全然五分で終わるような話じゃねえし。

「そうなんですけど今回は時間がないんです。私は仁美から相談を受けてる立場なんですけど、今度の土日までに香奈を説得出来る自信がなくて。でも無理なら仕方ないですよね」

 ツレの女も考えるような仕草をして黙り込んでしまう。

「いや……。んな事、言われてもこっちは生活かかってんし、店にも迷惑かけらんねえよ」

 それになんか逃げてるみてえで嫌だしな。何で私が相手の都合で逃げなきゃいけねえんだよ。

 そんな事を考えていると、再び仁美が口を開いた。

「ですよね。でももし香奈を止められなかったら、この前は人が来たからアレで済みましたけど、次はどうなるか……」

 仁美は顔を上げて弱々しい瞳で私を見つめる。

「私もさ、前回は黙ってやられてたけど次も我慢出来るかは分かんねえぞ」

 実際には香奈たちに手を出す気はないけど、場の空気を変えたくて敢えて言ってみた。二人を交互に見て更に一言付け加える。

「まっ、なるようになんだろ。お前らは気にしなくて良いよ。二人とも友達想いの優しい奴らだな」

 私は二人に微笑みかけてその場を後にした。