三コール目で呼び出し音が止み通話中に変わった。

『はい』

 一言だけ発した茜の声は、いつも通り明るくてホッとする。

「もし? 今、話す時間ある?」

『うん、大丈夫だよ。てか今日どうしたの? 唯もすっごい心配してたよ』

 茜は心配そうな口調で聞いてきた。

「寄り道してから購買行ったら大したもんなくてさ、コンビニ行っても何もなかったからファミレス行く事になって。心配かけてごめんな」

 ああ。いざ話すとなると言いづれえなぁ。

『そうなんだ。まさか朝あんな事があったのに四人で行ったんじゃないよね?』

「いや、ちょっと違ってさ。立川と三人で行ったんだよ」

 うわっ。マジで言えねえ。どうしよう。

『えっ? 晃は?』

 茜の心底驚いたような声に、余計言いづらくなる。

「うちら朝もめてたじゃん? んで、その事で昼休みに呼び出されたんだよ。そん時もちょいもめてさ。なんつーか、その……。中西が殴り掛かってきたから、やっちゃった。ごめん」

『晃が殴り掛かって? えっ、美咲は大丈夫なの?』

 茜の声が心配そうな声に変わる。

 何か、こんな事を思うのは変だけど、こんな時まで私の心配をしてくれてんのが嬉しかった。