時刻は既に十五時。四月も下旬の太陽は、暖かい光を地上に届けている。

 ファミレスからは駅が近くにあり、電車で通っているらしい立川は「マジで晃の動きには気をつけろよ。じゃ、またな」と言い残して駅方面に去って行った。

 二度も言ってくるって事は、そんだけ本当にやる可能性が高いって事だろう。まっ、実際に動くのは来週以降だろうけど。

「んじゃ、俺らも帰りますか」

 秀人はフッと息を吐いて呟く。

「ああ。つか、茜にどこまで話せば良いと思う?」

 こんな事、秀人に聞いても答えられないのは分かってる。何しろ今日の事を見てたってだけで、バカ西だけじゃなく茜とも大して面識もねえんだから。

 どっちかっつーと独り言に近い呟きだった。

「変に考えねえで、言える事を言や良いんじゃね? あの子は美咲の事よく分かってんだし、隠さなくて良いと思うけど。確かに、いきなり“彼氏ボコボコにしちゃった”とは言えねえだろうけど」

 秀人は、いつもこうやって簡単に答えを出してくれる。私が求める答えを正確に。

 そうだよ。変に考えずにそのまま言った方が良いよな。言うべき事だけ言って、後はバカ西に任せよう。

 気持ちが楽になって、私は足取り軽く家路についた。

 家に帰って手洗いと嗽、着替えを済ませソファで携帯を握り締める。

 よし。かけるか。