「懲りねえ奴だな」

 秀人は苦笑混じりに呟く。

「うわ、恐いよぉ。か弱い少女を守ってね」

 私は自分で吐き気がするくらい可愛らしい声で言ってみた。

「…………メシ来んの遅えなぁ」

 数秒の沈黙の後、秀人は思い切りスルーしてキッチンの方を見回す。

「俺ドリンクバー行ってくるわ」

 立川も軽くスルーして席を立った。

 ったく。この二人は私を何だと思ってんだよ。ちょっとくらい心配してくれても良いだろ。

「秀人。今度は私が取ってくんよ。何が良い?」

 私は煙草の火を消して立ち上がる。

「わりぃな。じゃ、コーラ」

 秀人から空のグラスを受け取ってドリンクバーに向かう。

 席に戻ると、料理が運ばれている所だった。

 私は店員が居なくなるのを待って、秀人にグラスを手渡す。

「サンキュ」

「ああ」

 席についてメシを食い始めると突然、立川が顔を曇らせた。

「値段相応の味だな」

「ハハ。確かに」

 秀人も苦笑している。

 ファミレスの料理に味を求めるのもどうかと思うけど、確かにこの冷凍オムライスは不味いな。

 文句を言いつつも、全員綺麗に完食し、食後の一服とともに再びアホ話で盛り上がる。

 話にキリがついた時に、秀人達は携番を交換してファミレスを出た。