「いきなり改まってどうしたんだよ?」

 秀人は話を聞く態勢に入るが、それを私は遮る。改まった話なら先にドリンクバーを取ってきて、ゆっくり聞いた方が良いと思ったから。

「つか、その前にドリンクバー行かね?」

「ああ、そうだな」

 私の言葉に立川は頷いた。

「全員が席立つとアレだし、お姫様は待ってな。茶で良いだろ?」

 秀人は立ち上がりながら聞いてくる。

「誰がお姫様だ? まあ良いや。よろしく」

「りょーかい」

 秀人はニッコリと微笑んで煙草の火を揉み消した。

「お姫様、少々お待ち下さいね」

 通路側に居た秀人に続いて立川も、煙草の火を消してから、からかい口調で去って行く。口笛のおまけつきで。

 あいつら完全に人をオモチャにして楽しんでやがんな。ったく。

 私は煙草の火を消して次の煙草に火を点け、何となく携帯を取り出した。

 ディスプレイには、“新着メール1件”と表示されている。

 送信元は唯だった。
 “何かあったの? 茜も心配してたよ”という簡単な内容。

 そういや茜には後で電話するっつったけど、唯には何も言ってねえからな。また余計な心配かけちまったよな。

 私は“心配かけてゴメン。明日話すよ”とだけ打って、即行で送信ボタンを押した。

 その時、秀人達が戻って来るのが見えて携帯を閉じる。