軽快な気持ちで扉を開けると、デジャヴ? つい最近、見覚えのあるシーンが目の前に広がった。

「……ってえ」

 秀人は両手で頭を抱えてボソッと呟く。

「アハハ、わりぃ。大丈夫か?」

「だから、全然わりぃと思ってねえだろ? まっ、良いけどさ」

 朝と似たような会話だけど、こんな会話一つで幸せを感じる。

 やっぱ私は秀人の事が好きなのかもな。いや、かもじゃなくて好きなんだ。もう否定すんのはやめよう。

 さっきまであんだけ会うのを躊躇ってたのに。

 一目見ただけで安心出来た。心配してくれてんのがマジで嬉しかった。秀人の笑顔に癒された。

 今日あった事を話す訳にはいかねえけど、一緒にメシ食うくらい良いよな。

「わりぃわりぃ。とにかく、あがれよ」

 私は笑いすぎて潤んだ瞳を指で軽く拭い、秀人を促す。

「あっ、ああ。良いのか?」

 明らかに戸惑っている秀人。

「良いよ。つか、その為に来たんじゃねえの?」

「そうだけど……」

「じゃ、早くあがれよ」

 何となくぎこちなさを感じながらも、笑顔で秀人を招き入れた。

「とりあえず煙草でも吸うか」

 微妙な沈黙の中、二人分のお茶をテーブルに運んで、ひとまず無難な話題を振る。

 つーより、まだ頭ん中がゴチャゴチャで何を話せば良いのか分からなかった。