『美咲、今日も夜メシ一緒に食わねえ? 材料買ってあるし』

 ここ最近は夜メシを秀人と食うのが日課になってる。


 本当は一緒に食いたい。

 良いって言いたいけど。

 秀人に会いたいけど。


 やっぱ今日は会えねえよ――。


「わりぃけど今日は無理だわ。明日にしてくれ」

『何かあんのか?』

 即座に切り返されて、返答に困る。

「……予定はねえけど、なんか疲れたからもう寝る。それより秀人は何があったんだよ?」

 苦し紛れの口実をつけてみたのは良いけど、なんか隠してんのがバレバレのような気がする。何て答えるか、もっとしっかり考えてから電話すれば良かった。

 私は、自分が思ってる以上に今回の件で参っている事を、今さらながらに実感した。普段なら、こんなヘマしねえのに。頭が正常に働いてない。

『美咲。正直に答えろよ? 今日バイトで何があった?』

 既にバイト中に何かあったって事に気付いてる。

……って事はアレだ。やっぱ電話する前から気付いてたんじゃん。

 たとえ気付いてても、何があったかなんて言えねえよ。ごまかしても無駄だけど、ここはとりあえずごまかしとこう。