「蒼、ハズレだ、逃げるよ。」

由理が私に耳打ちする。

「うん、でもどうやって?」

「時間差で行こう。トイレ行くふりして
帰るの。私が行ったあとに蒼が行って?

OK?」

「了解。」

それから私たちはてきとうに自己紹介を
すませた。

二人で目配せしあって、出るタイミングを
はかる。

そして、二人で顔を見合わせ、無言で
うなずく。