映画は思ったより感動もので
私が泣くたびに、叶多くんは
私の涙をぬぐってくれた。

「蒼、泣きすぎ...。」

物語の中盤で号泣した私に
叶多くんが言った。

「だってぇ...きょう...かっん。」
もう泣きすぎてろれつが回らない。

「蒼、涙とめてあげよっか?」
自信気な声が耳元で囁かれた。

ま、まさか...

「こっち向いて?」

「みんないるじゃんっっ」

これはキスするパターンだ。こんなに
人いっぱいいるのに...。