「あの人がリナムの飼い主なの?」

ラドリーンが聞いた。

返してくれと言われたらどうしよう。


リナムはソーセージをくわえたまま、キョトンとした顔でラドリーンを見た。


――オイラは妖精(シー)だけど、犬じゃなくて猫だよ?


それで全ての説明がついたとばかりに、リナムはまた食べはじめた。

ラドリーンはパンをちぎりながら考えた。

猫にとって、寝所と食べ物をくれる人は『飼い主』ではないのか。

『くれるから貰う』その程度の事なのかもしれない。


食事を終えると、リナムは『ネズミを捕ってくる』と言った。


「ネズミなんて食べなくていいじゃない」


――食べないよ。ネズミを持って行くと、あの喋れない人達が褒めてくれるの。で……


「で?」


――ニシンの端っこくれる


ラドリーンは声を立てて笑った。


――それに、ネズミは病気を持ってくるから、家の中にはいない方がいいんだ。あいつらに恨みがあるわけじゃないけど