テオドロスが剣を手にして振り向いた時、アスタリスもまた腰に下げていた細身の剣を構えていた。

雄叫びと共に斬り込んできたテオドロスの長剣をアスタリスがひらりとかわす。

「お前は何者だ? エイローンの手の者か?」

「いいや。俺はバード、トーンの<杖>に仕える者だ」

「異教徒かっ!」

「お前達の目から見ればそうだな」

「成敗してくれる!」

「できるものならな」

剣と剣がぶつかり合う。

「ほう」アスタリスが言った。「今度はまともな剣のようだ」

「当たり前だ。この城の、先祖伝来の名剣だからな」

「なるほど。だが、司教、おかしいと思わないか?」

「何がだ?」

テオドロスは歯を食いしばり、力でアスタリスの剣を押す。

「古い時代の物の方が優れているのだぞ」

「それがどうした?! よくある事ではないか!」

「古い時代の技は何処へ行った? なぜ、進歩せず廃れていくのか疑問に思った事はないのか?」

「ない!」

テオドロスは一歩横にずれると、勢いよく長剣を繰り出した。