そう決めたはずが、今の俺は何も出来ていない。
それほどに今の俺に‘余裕’の文字は存在してないのだろう。
ただメールを送ってこない優子が心配で、周囲に目を向ける事すら儘ならなく、こうして足をひたすら駐車場に停めてある車に向けて動かすことがなにより優先で。
社長になった時は1に仕事2に仕事3、4に仕事で5に仕事だったーー、が今は同率で1は優子と瞳子となっている。
仕事は以前と変わらない情熱だと思うが、それ以上に大切にしたいと思うものができ、そして俺はこうなってしまった。
―――ガチャ―
マンションにつき、玄関を開けるとシーン静まり返っていて、優子?と声に出してみるが優子の声は返ってこない。
出掛けているのだろうか?と思い、確認の為に寝室の扉を開けてみる。
「瞳子…」
ベビーベッドの中にはすやすやと眠る瞳子の姿。