宿から数メ‐トルと離れていない、
城の辺りをうろうろして居ると、
警備をしている兵士の
話し声が聞こえてきた。

「また居なくなったらしい昨晩。

王の息子、
最近ひんぱんに抜け出してこっちの探す側の身になって貰いたいよう」

「まぁ、同じような立場なら自分も自由を求めて、
抜け出すかも知れないけど」

「その通りだなっ、
籠もった人生で生きるよりは、自由を求めた方が
自分らしいわな」

暗闇の中、
男性2人の会話を少し聞き私は宿に戻った。
結婚されて抜け出すと言う何処かふに落ちない会話。
翌朝私は朝ごはんを頂こうと、起き上がり
今日もまた、
スープかなっと期待せず
調理場に向かった。

「おはようございます!」
茶色髪に細身で
綺麗なエプロン姿の女性に挨拶され
私は、あいさつを返した。
けれど中年の方ではなく、アルバイトでも雇われているのか、内心ふっと思い。
「あのぅ、昨日ここでお食事を出して頂いた方は、
今日は姿が無いようですが?」

エプロン姿の女性は、
にこやかに笑顔を向け。 
「私母の娘なので、母は朝早くから出かけました。
私もしばらくしたら出かけますから、
お食事こちらに置いて置きますね」

今日は、ご飯とお味噌汁が用意されびっくりした。
ご飯は枯れていたはずなのに。