「あの……
何かこの国であったのですか?

国の王子様が、
自然界の女性と結婚され 喜んで居る話は聞きましたが」

中年女性が、
またため息をついている。
「あぁ……そうみたいだねぇ、人様に対して
喜んでも居られないけど
この辺りでは、
喜んでいるように見せるような、おきてみたいなものかも知れない」

本当に心の底から喜んでいるような言葉とは、
思えず不思議に感じた。

「……ものの数ヶ月前にはみんなもっと喜んで
居たものを、
暗闇の天使によって
みんな、かれちまったよ 食べる物のほとんどが」

そう言いながら、
真横のかごに手をのばすと枯れた麦をかごから取出し私に見せてくれた。

見るからに食べられそうも無いくらい、しなび
完全に枯れている。