星降る祭りの夜に 4
ボンッ!!!
村の全ての空を覆うような黒く、巨大な重い雲が現れ、瞬く間のうちに地上に降りてきた。
先程まで鳴っていた村に危険を知らせる鐘も鳴りやんでしまった。
「なんなの?あの雲!」
『しつこいわね、闇の族め!』
宝珠は唇を噛むと、ヒナに向き直る。
『あんたはあんたにしかできないことがある。どうするかは自分で決めな!』
言うか言わぬかの間にヒナの目の前から宝珠は風に消えた。
「!?」
こうしている間にもどんどん村を覆い尽くしていく暗雲。昼間だというのにまるで夜のように暗くなっていく現実ににヒナの胸の鼓動は早くなった。
「とにかく…こうとジュンを探さなきゃ!!」
震えそうな足を気力で動かし、モンタと共に宝珠の本を無意識に胸に抱きしめ村に向かって走り出した。
黒い深い雲に覆われ始めた星の村を、嘲笑うかのように見下ろしているのは4DSの四星の一人、サマルだった。
彼の立つ村の中心部にある楼の屋根上からは村が一望できるが、見渡す限りの逃げ惑う人々や、倒れこむ村人の姿さえも次々に闇に消えていく。
「人も…宝珠も…世界も…全てが忌まわしい…」
「宝珠使いはこの村にいないようだな」
村を見下ろすサマルに、同じく四星セレメスが一言加える。
セレメスは杖を手に陣をはり、黒く渦を巻く暗雲を次々に産み出していた。
天の塔前での女との戦いの跡か、その手には小さな傷が幾つか見られた。
「ふん。星の宝珠は晴れの夜があってこその宝珠です。星も見えぬ空では具現することも不可能です。……忌まわしきカストル…。あなたの星もこの空の下では見えません。」
静かに詠唱をしていたセレメスが呟く。
「カストル…か。お前はなぜそいつにこだわる?」
「……。」
サマルはその問いには答えず、嘲笑いの表情を一瞬で冷たい氷のような殺意に変え、村のある一点に向ける。
「今から消えて頂きますよ。」
セレメスはサマルを一瞥すると、もう何も言わずさらに濃い黒雲を呼び寄せた。
ボンッ!!!
村の全ての空を覆うような黒く、巨大な重い雲が現れ、瞬く間のうちに地上に降りてきた。
先程まで鳴っていた村に危険を知らせる鐘も鳴りやんでしまった。
「なんなの?あの雲!」
『しつこいわね、闇の族め!』
宝珠は唇を噛むと、ヒナに向き直る。
『あんたはあんたにしかできないことがある。どうするかは自分で決めな!』
言うか言わぬかの間にヒナの目の前から宝珠は風に消えた。
「!?」
こうしている間にもどんどん村を覆い尽くしていく暗雲。昼間だというのにまるで夜のように暗くなっていく現実ににヒナの胸の鼓動は早くなった。
「とにかく…こうとジュンを探さなきゃ!!」
震えそうな足を気力で動かし、モンタと共に宝珠の本を無意識に胸に抱きしめ村に向かって走り出した。
黒い深い雲に覆われ始めた星の村を、嘲笑うかのように見下ろしているのは4DSの四星の一人、サマルだった。
彼の立つ村の中心部にある楼の屋根上からは村が一望できるが、見渡す限りの逃げ惑う人々や、倒れこむ村人の姿さえも次々に闇に消えていく。
「人も…宝珠も…世界も…全てが忌まわしい…」
「宝珠使いはこの村にいないようだな」
村を見下ろすサマルに、同じく四星セレメスが一言加える。
セレメスは杖を手に陣をはり、黒く渦を巻く暗雲を次々に産み出していた。
天の塔前での女との戦いの跡か、その手には小さな傷が幾つか見られた。
「ふん。星の宝珠は晴れの夜があってこその宝珠です。星も見えぬ空では具現することも不可能です。……忌まわしきカストル…。あなたの星もこの空の下では見えません。」
静かに詠唱をしていたセレメスが呟く。
「カストル…か。お前はなぜそいつにこだわる?」
「……。」
サマルはその問いには答えず、嘲笑いの表情を一瞬で冷たい氷のような殺意に変え、村のある一点に向ける。
「今から消えて頂きますよ。」
セレメスはサマルを一瞥すると、もう何も言わずさらに濃い黒雲を呼び寄せた。