「宝珠……闇の集団か~」


ヒナは村の脇道を入ったところにある小さな丘の上にいた。
元々が高台の上に位置する村の丘からはのどかな田園風景の中に今まで歩いてきた時計塔や天の塔が遠くに霞むように見える。
その奥にはまだいったこともないような深い森や、街、山や崖も。


「……私がなんだってのよ…」

見たこともない知らない風景に涙が滲む。

「このまま……このまま帰るのあきらめてここで暮らす…?
コワイことばっかの宝珠なんて危ないもの集めるのやめて…全部投げて逃げちゃえばいいんじゃない」

一筋の風が、微かに滲む涙を拭うように通りすぎた。

「ウキー」
「あ…モンタ。」


全速力で走り抜けたせいか、重い宝珠の本を抱えたモンタはやっと今ヒナに追い付いたようだ。
小さな体と、小さな羽根で大きな本を抱えていたモンタはヨロヨロとヒナの側に降りる。



「……、あんたはどっから来たの?なんで私についてくんのよ…。」



指で小さなモンタの頭を撫でてやると気持ち良さそうにヒナの手に寄り添う。



宝珠…。


おばあちゃんの童話は何かを集めて旅をする話ばかりだった。
不思議な世界に迷い混んだ女の子の物語。
話してくれる物語が読み終わるとハッピーエンドなのにいつも寂しそうな顔をして空を見ていた。


昔ある男の子と冒険した話を必ずする。
15の年の頃にって…。


おばあちゃんはもしかしたら…この世界に来てたんじゃ…


「……まさかね……」



自分の妄想を自分で切り上げ、思わず空を見上げた。
昼間だというのに小さな白い星が一際大きな光をみせている。


「…………」


ぼうっとその星を見上げていたがあることに気づく



「あれ…あの星…だんだん大きく…」



白の星はだんだん大きくなり、光を増していた。
つまり空から地面へ一直線に向かっているということだった。
その速度は計り知れず、ヒナが気付いた時には…

「ええ~!!!」



ドガンッ!!!



ヒナのすぐ後ろの草むらに、砂ぼこりを激しくあげながらその何かは墜落していたのだった。