飛び出したヒナの後に残ったのは、こうとジュンと、心配そうに見つめている天の塔の
女の子だった。

「あの…大丈夫ですか？…」

「いいのよ。この世界じゃ甘えはきかない。宝珠集めなんて闇の集団の耳には
すぐに届くでしょう。そうなればこの先何があるかわからない。
ヒナには知っておくべきことなのよ。」

ジュンはヒナの消えたドアを見ながら、強く、でも寂しそうに続けた。

「あいつはこれくらいでどうにかなるようなヤツじゃない。
待ってるさ。オレは。」
こうはそう言うと二階へとあがっていった。

「……」
「あ。ありがとうね。いろいろ教えてくれて。
あなた名前は？」

先程の厳しい顔のジュンは消え、優しい表情で女の子に問いかけるジュンに女の子は安心したように応えた。

「リュームです。まだ見習い司祭なんです。
また天の塔にお越しくださいね！」

リュームはニコリと微笑み。宿を出て行った。