「ハハ!!なんだよ、その冴えない顔! あ、いつも そんなか! 」

朝の夢が気になり、浮かない顔をするヒナを見てこうがちゃかす。

「…………おーまーえは〜!!」
「あっ! ちょっと!! 」

歩くは山道。
ジュンの宝珠の記述の記憶を頼りに『ホシフ村』へと向かうヒナ達だった。

ホシフ村には宝珠の伝説があり、なんでも、一 年に一度、星が降ると言われている。

その降りしきる星の中に宝珠が現れ、一年の豊作を祈るという……

「庶民派な宝珠だよな〜地域に根付いてるってゆうか。」

「庶民派なんて言葉、宝珠に失礼よ」

そんなことを話しながらも村に到着した一同は村の前で誰からともなく立ち止まる。

「………でも、確かに、これは………」

一同が絶句したわけは………………………


「この『田舎』…に本当に宝珠がいるの〜??」

そこは見渡す限りの畑や田んぼ。
家は質素な作りでぽつん、ぽつんと建ち、見るからにボロい。
のどかな田舎風景の中、鳥は鳴き、小さな動物たちが道を歩き、人は1人、2人とのんびりと歩 いている。

村の入り口にはもうしわけなさげに『ホシフ村 』とかいた古びた看板がたっている。

「………あ、でもほらっ」
ジュンは自分の記憶は正しいと証明するかのように、ある張り紙を指差す。

「??なになに、『ようこそ、ホシフ村の星降祭へ !今日、一年に一度しか会えない宝珠が来る! 』だって……」

……うっさんくさ〜

3人の誰もがそう思ったその時だった。
後ろから控えめな声がヒナを呼び止め、もしかして、あなたは!」

[newpage]


「あ」
「おまえは…」
「誰だっけ?」

「私です!天の塔で助けていただいた!
あの時はありがとうございました!!」

神秘的な雰囲気を持ったその女性はニコリとヒナ達に挨拶した。

「ああ!!あの変なのに襲われてた子ね!」
ヒナはやっと思い出したというように手を叩く 。
天の塔で闇駒や、セレメスに襲われていた女の子だった。
どうやらホシフ村が故郷のようだ。

「はい!あの時は闇の集団から守っていただいてありがとうございます」

その瞬間、こうの表情が変わる。

「待てよ……闇の集団…あの闘ってた2人はどうなった!?」

こうはあの邪悪な雰囲気を漂わせたセレメスや 、不思議な女を密かに警戒していた。
自分たちの旅に関わってきたら太刀打ちのしようがないからだ。

あまりの勢いに驚く女の子。
「あ、あの後は」

「…私がこの子を連れ出したからわからないわよ 。」
ジュンがこうの勢いを治めるかのように静かに話す。

「……とりあえず、今日の宿に行きましょう。」





数分もすると一同は村の一角の古い宿に集まり、テーブルを囲んでいた。

「…………」
「あの……」

部屋は先程の闇の集団の話から重い空気を漂わ せていた。 ただ1人をのぞいて…

「??」

静まり返る三人を不思議そうに見るヒナだ。

「何?さっきの2人って?」

きょとんとするヒナの様子に水を指すようにジュンは話しはじめた。
「……闇の集団は、決して遠い存在ではないわ」
ジュンは気まずい空気を切るようにヒナを名指しした。

「特にヒナ。あなたは宝珠使いとしてすでに目をつけられている。」

「え……」
急に真剣に話し出したジュンに驚き、思わず振り返る。

「今の私たちが闇の集団…それも4DSに出くわ したら間違いなく勝てない。
つまり…邪魔者は 殺されるでしょうね」

ジュンはあえて強い言葉をヒナに向ける。
天の塔の女の子も思わず表情を変える。
こうは何も言わず、ヒナを見ていた

「私…?…わたしが?!なんで?!」

「あなたが望まなくても、そう闇の集団は見ているってことよ…」

「いやだ!…わたしは!!」
バン!!


ヒナはジュンのその言葉に絶えられず乱雑にド アを開け外に飛び出した…