「ここが、天の宝珠がいるらしい街、アースガルズね~」

ヒナがまるで観光に来た旅行客のように大きな街の建物を見渡す。
大都市とも言える街の入り口にはヒナ、こう、そしてジュンの姿があった。

時計塔の街クローナを後にしたヒナ達一行は途中で出会った荷車の荷台に乗り、隣街の『アースガルズ』と呼ばれる街に降りていた。
白塗りの家壁や、石造りの街道はクローナとは違い広く、立派だ。
行き交う人も段違いに多く、様々な人種、目的を持ってこの街を訪れているようだ。
遠く、中心部の広場には高くそびえる荘厳な塔が見える。

ジュンは街を珍しそうに飛び回るヒナを見ながら、諦めるように言葉をこぼした。
「なんで、私まで加わされてるのかしら…」

「…あいつは、一度決めたことは絶対動かさないからな…」

こうはあきれたようにヒナを見ながらジュンにこぼす。
だがその直後、鋭い視線をジュンに向け瞬時に言い放つ。

「だけどな。ヒナはあんな調子だけど、オレはまだおまえを信用しないからな。」

ジュンはその言葉に驚く様子もなく真っ直ぐにこうの目を見て笑いかける。

「まあ、当然の行動と意識だろうと思うわ。逆にその言葉に安心したわ」


「あ?」

思ってもみないジュンの反応に驚くこう。

「なんでだ…?」


「この世界は今、平和じゃないの。
私たちに害なすモノがたくさんある。
逆に言えば簡単に人に付いていくあの子は危険なの。
だから、あなたが見張っていてあげなさい!」

こうはいたずらっぽく意味ありげに、自分を見るジュンを見て、あわてて手を振った

「なっ!んだよ!!そんなんじゃねーし!!」







二人の空気が和んだ。
ちょうどその時だった





ドドン!!


「なに!?」

地を揺らすような爆音ともいえる音にヒナは思わずしゃがみこむ。


「まさか!!」

ジュンは一瞬にして鋭い表情に変わって
いた。