「由紀くん、…結婚とか考えない?」 私が恐る恐る由紀くんに話しかけると、彼はほんの少し顔を歪めた。 「……結婚って、僕らまだ二十四だけど」 「考えない?」 由紀くんの呟きを無視し、私は再度彼に訊ねる。 彼は一つため息をつく。 そのため息一つで、彼がもう私に愛情を持っていないのだとわかってしまう。 その事実が、氷柱のように私の心を突き刺した。 痛い、冷たい。 涙がこぼれそうになるのをごまかす。