「でっ!昨日は手ぐらい繋げたのっ?!」
そう言った里美に、『何が?』と、聞かずとも分かってしまう。
冬樹くんの事だ…。
少し離れているため、大きめの声を出す里美に、私も大きな声で返す。
「ぜーんぜんっ!
何っにもなかったよっ!……てかさっ…!私、気づいちゃったんだよねっ……!」
少し涙が出そうになるのを必死に堪えて、バレないようにわざと明るく話す。
そんな私に気付いているのか分からないけど…、真剣に聞いてくれる里美。
「昨日…!帰ってる時さ!考えてたんすよっ…!私の事好きなのかな?って!」
「うんっ」
「そしたらねっ…!そしたらっ……、
私、気づいちゃって…」
「うん。…何を?」
いつの間にか、私の傍まで来ていた里美。
私の頬には涙が伝っていた。