1人の女子が、ツカツカと宮澤の前まで歩いていき、胸ぐらをつかんだ。

宮澤は、殴られると思って、目をつむり、歯を食いしばった。

ざわざわと周囲が騒がしくなるだけで、なかなか痛みを感じないので、恐る恐る目をあけると、目の前の女子が振り上げた手を、花園が掴んでいた。

「何してんの?」

優しく笑っている、花園だが女子の手を握っている手には、力が入っていた。

「なっ・・・。何もしてないよ。」

「うん。何も。」

「話してただけ。」

「そう。話してただけ。」

そう言いながら、女子達はジリジリと後ずさっていく。そして、感覚が十分にとれた所までくると走って、その場所から離れていった。