『シュウ、明日休みだろ? 一緒に飲もうぜー給料も少しだけど入ったことだし』
「……いや、遠慮しとくよ」
『あ、明日なんか予定あるのか』
「…まぁ」
『―――彼女か?』
「ばっ……とにかく、ケンはもう休めよ。じゃあな」


帰宅途中にケンからの着信に出て、どうにか切った。

楓は明日、休みだった。
その休日はもう予定が入っていて―――。


【明日昼前には行けると思うから】


そうメールが届いていたのを確認して笑みが零れる。


「明日は何を作ろう…」


夜道で一人呟きながらアパートへと向かう。
明日は圭輔がまたやってくる約束だ。

ひとときの安息の時間が待ち遠しい。

仕事も終わって明日が休みで―――弟と会える。

楓はすっかりと気が緩んだままアパートへと戻っていった。