*
あれから瑠璃は来店していない。
それでも楓は構わないと思った。
2回目以降は通常価格で高額になるし、いい子だったから余計にそう思ったりもした。
変わらずヘルプをこなしていた。
そんなある日、楓の下にもう一人新人が入ってくる。
「ケンだ。そうだな…リュウの下に基本はついてて貰うか」
「…はい」
堂本が手短に開店前そう説明し、「リュウ」と言われた男が返事をした。
リュウという男は、楓よりもさらに大きい…№2のマサキと同じくらいの背格好。
髪は肩につくぐらいのストレートの黒髪だ。
その黒髪と同じように真っ黒な瞳が印象的で、歌舞伎役者にでもなれそうな端正な顔立ちをしていた。
ただ、そのリュウという男は見た目同様、近づき難い存在だった。
寡黙な訳でもなく、どちらかというと話好きのようなタイプだが、その出で立ちからするオーラに気が引けてしまって、怖がられるところがあった。
そう感じるのは数人のホストと同じで、楓もだ。
「よろしくお願いします…」
そんなリュウに「つけ」と言われたケンという男は、一言挨拶をするだけで他に何も言わなかった。
ケンはまだ数日しかこの世界にいない楓ですら、“意外”な雰囲気の男だった。
不良上がりのようでもなく、ましてチャラ男になんか到底見えない。
どちらかというと、自分と同じような、至って普通の―――。
「雑用やなんかはシュウが教えてやれ」
まじまじとケンを見ている楓に、堂本はそう言って店を出て行ってしまった。
あれから瑠璃は来店していない。
それでも楓は構わないと思った。
2回目以降は通常価格で高額になるし、いい子だったから余計にそう思ったりもした。
変わらずヘルプをこなしていた。
そんなある日、楓の下にもう一人新人が入ってくる。
「ケンだ。そうだな…リュウの下に基本はついてて貰うか」
「…はい」
堂本が手短に開店前そう説明し、「リュウ」と言われた男が返事をした。
リュウという男は、楓よりもさらに大きい…№2のマサキと同じくらいの背格好。
髪は肩につくぐらいのストレートの黒髪だ。
その黒髪と同じように真っ黒な瞳が印象的で、歌舞伎役者にでもなれそうな端正な顔立ちをしていた。
ただ、そのリュウという男は見た目同様、近づき難い存在だった。
寡黙な訳でもなく、どちらかというと話好きのようなタイプだが、その出で立ちからするオーラに気が引けてしまって、怖がられるところがあった。
そう感じるのは数人のホストと同じで、楓もだ。
「よろしくお願いします…」
そんなリュウに「つけ」と言われたケンという男は、一言挨拶をするだけで他に何も言わなかった。
ケンはまだ数日しかこの世界にいない楓ですら、“意外”な雰囲気の男だった。
不良上がりのようでもなく、ましてチャラ男になんか到底見えない。
どちらかというと、自分と同じような、至って普通の―――。
「雑用やなんかはシュウが教えてやれ」
まじまじとケンを見ている楓に、堂本はそう言って店を出て行ってしまった。