「そのカメラが、ライブで見れるんだ――堂本さんならね」
「えっ」
「――そ。つまり、堂本さんが気付いて俺に指示を仰いだってことだ」
(つまり――つまり、また、堂本さんが助けてくれたっていうこと?)
レンも上半身裸だった為に、着替え始める。
楓は意外にたくましいレンの体をぼんやり見ていたが、ハッと我に返り、顔を赤くして顔を逸らす。
「おい。早くそれ着替えろ。リュウがまたこないとは限らない」
「あっ、はい!」
その言葉に、背筋を伸ばして、レンに背を向けるようにしてささっと着替えを終える。
椅子に座って携帯を操作しているレンに向き合って、楓は口を開いた。
「…あの」
「ん?」
「どうして……」
“私なんかを、度々助けてくれるの?”
それを聞きたくて言いかけたが、なんだか自意識過剰な言葉にも思えて口ごもってしまう。
しかし、レンにはその楓の言いたいことはお見通しだった。
「前にも言っただろ。お前が堂本さんの“特別”だからだって」
「それは、聞きました。けど…その理由がわからないから…」
「『理由』ね――――…」
レンは、操作していた携帯から視線を外して言った。
その雰囲気が何かを知っているように思えて、楓は問う。
「“理由”――レンさんは何か、知ってるんですか…?」
その“理由”が気になる。
聞くのが怖い気もするけど、それでもやはり、気になるという思いの方が大きい。
ドクンドクンと、わけも分からず緊張して、レンの返答を待つ。
しばらく沈黙したのちに、レンが動かずにそのまま話し始めた。
「……詳しくは、知らない。けど――」
『けど』――その言葉に続く内容が、物凄く気になる。
楓は何も言わずに、目で続きを訴える。
レンはその視線を感じながら、それでも前を見たまま、再び続けた。
「“似てる”らしい」