久美子は意気消沈してしまい、その客が帰ってからも、すっかり元気がなくなった。
「久美子、ちょっ、おいで」
ウチは久美子を厨房に呼び出した。
「誰でもミスはある」
「……はい、すみません」
「同じミスは二度と繰り返せへんかったらええ話や……
それより、もう社長も帰ったのに……落ち込んだ気持ち引きずってて、どないするねん?
いつも通りに笑顔でいてくれな……
そんな暗い顔見てたら、酒もまずくなるわ」
「…………」
涙ぐんだ久美子の目は、いつも以上に赤かった。
大きい体して、何と弱っちい性格なんかな……。
マジで前途多難、
悪い子ではないんやけど、純って言えばええのか、何も知らんって言えばええのか……他に言葉が見つかれへん。