●私●
アザラシ久美子は、まだ引っ越して来たばかりのワンルームマンションに、千鳥足になりながらも、やっとの思いで辿り着いた。
あぁあ~疲れたぁ~と、久美子はベッドにドサッと倒れ込んだ。
泥のように眠ってしまい、目が覚めると夕方になっていた。
急いでシャワーを浴び、メイクを始める。
その日の7時前……久美子は再びナイトゲームのドアを開けた。
遊んでいてもお金は入ってこない、取り敢えずここでお金を稼ごうと、歩きながら決意を固めてきた久美子だった。
「おはようございま~す」
「おはようさん」
???えりさんだけしかいなかった。
「ママは、お客さんと同伴やから、まだ来てないで」
同伴?とは、お店に入る前に、お客さんと食事をしてから店に一緒に入って来ることらしい。
「うちも、たまに同伴あるから、その時は店、開けてや。
今までは、おばちゃんがおったんやけど、急に辞めたんよ」
突然辞めた、おばちゃんって、よくよく聞いてみたら、年は27歳だったらしい……ってか私よりも年下なのに……おばちゃんって?