泡を吹いてる黒田を残し、アタシは急いで外へ~

バスに乗り込み、ホッとした時、運転手が言った。


「空信女、場所は決まりましたか?」


この世とお別れの最後の日は、自分の一番行きたい場所に一瞬だけ連れて行ってくれる……
といったサービスがある。


アタシは迷わず答えた。


「今、拓也がいる場所にお願いします」


拓也……
初めの辺りで話した、アタシの、もと婚約者。


バスは発車した、
拓也、今どこにいるの?


暫くして着いた場所は……
そこは墓場だった、
アタシの墓がある所。


拓也……
お墓参りに来てくれてたんだね、そうだよね、今日は8月8日、アタシの命日だもんね。


アタシはバスから降りて、自分の墓石に向かい歩いて行った。