●アタシ●
アタシ真理子
今アタシさ、さっきから何処にいると思う?
それは、店を出た表……
久美子が出て来て、今、帰って行ったよ、肩を落としてさ……
それで……何でここにいるかって?
向こうを見て、見て、見て~
久美子がさ、帰って行った反対方向よ、
あれ、あそこに黒田和男の車が停まってんだ、運転席に黒い影も見えてるよ……
きっと本人が乗ってる筈。
さっきから……あの車、ずっとあそこに停まったまんま。
あっ、えりも店から出て来たよ。
「ママ~じゃ、ねえ~また明日~」
「えり、お疲れさん~」
えりが自転車に股がり、その姿が遠くなった頃……
やっぱり!
車から出て来たよ、
黒田和男が!
こっちに向かって歩いて来るじゃない!?
このおっさん……
さては、久美子とえりの帰りを待っていたな。
まだ店のネオンはついていた……
店の鍵も、まだ閉められていない状態で………
黒田がドアを開け、入って行ったよ。