あの野郎~ぺてん師、詐欺師、エロじじいめ!
久美子は今まで溜めていた思いを、この時ばかりかと一気に吐き出した。
「ママ……私、恥ずかしい話しなんだけど、この歳になって、人を好きになったのって初めての経験で……
でね……人の気持ち?男の気持ち?って
よく分からなくて、
誰にも聞けないし……
相談相手もいなくて、1人でずっとずっと考えてた……
でも……なかなか、この気持ちが和男さんに通じなくて、苦しかった、
綺麗になりたくて始めたダイエットも、今では、食べ物見ただけで吐き気がして……
体も心も自分でコントロール出来ないの、
和男さんには奥さんがいるから……
会いたい時に会えないし、淋しい時も苦しい時も会えなくてううっ、ううっ……」
久美子のガリガリに痩せた肩が、その手が、落ち込んだ目が、ウチには痛過ぎた。
恋って、女を綺麗にも汚くも、どちらにも変える事が出来るんや……と、ウチはその時思った。