久美子が泣いている。
「久美子……
カッコ悪い事なんかないよ、人の生き方にカッコ悪い生き方なんてない。
自分で決めた事なんやから、堂々としてたらええやんか!
離婚の1回や2回が何やねん!?
今はバツイチがモテる時代やで……」
「そんな事言っても……
私、今までいったい何をしてきたのかなぁ~って……
夢も特技もしたい事も何もなくて……結局、結婚に逃げた形で、でもその場所さえ1年で終わってしまった……
1人で自立してやり直そうって思った結果がこれで……
自分の事さえ、今、管理出来ない状態で、皆に迷惑かけてばっかり……
私……ママよりもずっと年上なのにね、情けないよ、ううっ、ううっ……」
久美子の涙は止まる事なく……
その涙の訳……まだ他にあるのやろ?
おっちゃんの事で苦しんでるのやろ?
……黒田和男の名前が、久美子の口から出てくる事を、ウチは只ひたすらに待った。
でもなかなか、久美子は口を割らない、
おっちゃんの事を全く口にしようとはしなかった。