えりが辞めていく1週間前のこと……ある噂を聞いた。
店の帰りに、えりとラーメンを食べている時の事やった。
「ユリア……気をつけた方がええよ」
「えっ何を?」
「ユリアは歳が足らんって、まだ16やて……女の子らが噂してたの、私聞いてしもうた」
「…………」
ウチは考えた、ウチの歳を知ってるんは、えりと……あのクソ女、マイだけ……
えりはそんな事、人に言う筈がないし、あのクソ女に間違いなかった。
この世界に来て……人もしっかり見ないで信用したウチもアホやった、
あのホストクラブの飲み代払わされた時も、後でよく考えたら、初給料の額をマイに言うたのが間違いやった。
あのクソ女め……グラフ抜かされた腹いせに、ウチの歳を言いふらし、辞めさそうとしてるんやな、きっと……。
「えり……教えてくれてありがとうな」
でも、もうここには、そんなに長くは働かれへん……と、その時思った。
店側に知れたら、もう終わりや、その時点でクビが飛ぶ。