サラリーマンが行き来するエントランスで、私は、恋しい恋しい男を待った。
暫くしたら、エレベーターの扉が開き、スーツ姿の男達の中に、黒田の姿を見つけた。
「和男さん……」
えっ???恐い顔してる!?
こんな引き攣った和男さんの顔を見るのは初めてだ……と、私の腕をいきなり掴み、歩き出した。
「ちょ、ちょ、ちょっと痛いよ~」
ビルの外に出され、無言で私を引っ張って行く。
掴んだ手がきつくて乱暴で、腕が痛いよ。
門を曲がり……
人気のない場所まで来た時、和男さんは、私の腕をやっと解放した。
「どうゆう意味やねん?いったい!?」
「……意味って?」
「嫌がらせしてんのか?」
はぁ???何で……
私はただ、少しでいいから顔を見たかっただけなのに……。
「ルール違反みたいな事しやがって」
「ルールって?何それ……
人を好きになるのにルールって……」
「……ったく、ガキやあるまいし」