直樹先輩の横は、いつもウチの指定席。

直樹先輩は、助手席にウチ以外の人を全く乗せなくなった。



車を走らせて、家に送り届けくれるのは、いつも夜の9時過ぎで……


それから、直樹先輩はまた仲間同士で遊びに行った。


月は……まだ中学やから、早く帰って勉強しいや……って、ウチを凄く大事に思ってくれた。


ウチがキティちゃんを好きな事知っていたから、ゲーセンのUFOキャッチャーで、よくグッズを取ってくれた。


「これ、欲しいねん」

ってウチが言うたら、お金が幾らかかろうと意地になり、それが取れるまで止めなかった。


ゲームで取るより買った方が確実に安いのになぁ~って分かってたけど……
そんな直樹先輩の愛がスゴク嬉しくて、スゴク幸せで、ウチは次から次へとオネダリした。


家ん中は……いつかキティちゃんだらけになって……。



そんな2人の付き合いを……
心の底から嫌がる人間が、この世に1人。


……それは、たこ婆やった。