「学校はちゃんと行かなあかんで、
勉強して、きちんと高校行きや……なっ」


直樹先輩に言われるまま、ウチは真面目に学校に通い出した。


テスト前にはしっかり勉強して、返ってきた答案用紙も直樹先輩に見せたりとか……
分からんとこは、先生みたいに教えてくれた。


週に2、3回……授業が終わる頃、直樹先輩は学校まで迎えに来てくれる。


あの頃のウチは王子様に選ばれた、お姫様気取りやった。


学校でも噂の花が咲いた。


皆が羨ましがった、
だって、この辺りでは一番強い男やったから、ウチに逆らう奴はいなくなった……と言うよりも、それ以上や、皆、ウチに媚まで売るようになってきた。


直樹先輩はいつでも優しかったし、人が噂をしていた、女好きとか、女たらしとは全然違う。


見た目とは違い、ずっとずっと誠実で、ウチを真面目に真剣に愛してくれた。


直樹先輩は、ウチのこと、月……って呼んだ。


「月が高校行って、俺が大学行って、2人が無事に卒業したら……結婚しよか?」


15歳……この世でウチが一番幸せ者。


恐いぐらいに幸せやった。