拓也の心中に彼女が侵入してきて……
アタシの占める存在感は、彼の中でしだいに小さくなっていった。
アタシは泣いた、毎晩、毎晩……
哀しく切なく寂しい事だけど……
これで良かったんだって、アタシは自分に言いきかせた。
良かったのよ、これで……
どんなに存在感が小さくなろうとも、彼の心の中で、一点の点になったとしても、消えてしまうことはない、アタシを愛した思い出は、彼の中で、その命が途絶えるまで生き続けるだろう。
それは、魂になってから2年目が来ようとしている時だった。
もう、この世に彼を置き去りにしても大丈夫、彼女が幸せにしてくれるでしょう。
次のお迎えバスには、必ず乗らなきゃね。
さようなら拓也、アタシの愛し、愛された男。
さようなら人間界。
さようなら魂の修行場。