服を着始めた黒田に、私は、意地悪な質問を投げかけた。

「ねぇ和男さん♪
質問その1!
私と奥さんとママが海で溺れていました。
さて、1人しか助けられないとしたら……誰を助ける? 」


私は、唾をゴクンと飲み込み、答えを待った。


「決まってること、聞くなやぁ~」

と、黒田はいたずらっぽい笑みを見せた。

……って、ドキドキドキ……


   その時!


「体重の一番軽い奴かな」


  えぇぇぇぇ?

ガ~~ン ノックアウト


普通は、嘘でも、目の前にいる女を持ち上げるものじゃないの?

私の心は倒れた。


……奥さんって小柄なのか?大柄なのか?なんて知らなかったけど……
それって、少なくとも……私、満月ママには負けてるじゃん……また、胸の奥が痛くなった。


ブルー海から引き上げられた私、喜んでいたのもつかの間で、また突き落とされてしまった。


と、黒田は少年みたいにニタッと笑い、私の顔を覗き込んできた。

「嘘、嘘……
俺が一番先に助けるのは、久美子姫に決まってるがな」


突き落としながら、黒田はまた一瞬にして私を拾い上げた。


私は黒田に強く抱きついた。