えぇっ? 私の詰問に、黒田は何の動じる様子もない?


何か言ってよ、言いなさいよ!


と、私は黒田をキッと睨んだ。


黒田は落ち着いた表情で、ゆっくりと話し出した。


「黙ってたんは悪かった……
あいつな……店をする前は、キャバクラに勤めててな、金に困ってたんや……
それで今の店、段取りしたった訳やけど……あいつは俺にとって、娘か妹みたいな存在や……
店をさせる以前は正直に言うて、付き合いはあった。
でも今は何もない、そんな男と女の関係やないんや……
この前も、飲酒で車に乗られへんから、店で休ませてもうただけや……ソファーで横になっただけで、
あいつとは何もしてない」


「…………」


その時、私は、この迷路に、一筋の明かりを見つけた。


でも……それって真実?


ねぇ和男さん、私、あなたを信じていいの?


「なぁ久美ちゃん……
俺の言うことを信じるのも疑うのも、久美ちゃんしだいや……
何回も言うけど、あいつは俺の妹分で、久美ちゃんの事は女と思てる」


和男さん……
信じます、私、信じますとも、信じさせて……
どうか、この迷路で迷子にならないように、私をしっかり誘導してよね。