ばあちゃんは無料商品を手にして……
じっと何かを考えていた。


そしてまた机上に置いたかと思うと、
いきなり!ウチの毛を鷲掴みして、何度も何度も頭をゲンコツで殴ってきた。


「痛いやんか!
何するねん!」


「お前っていう奴は、人様のもん泥棒するやなんて、ワテは、ワテは……情けない…… 」


ばあちゃんはこれでもかと思うくらいに何度も何度も殴ってきた。


止めに入った刑事によって、ばあちゃんの興奮は取り敢えずおさまる事に……。

ウチを殴った、ばあちゃんのコブシは小刻みに震えていた。


その時、ウチは思い出した……
そうや、ばあちゃんはリウマチやったんや、ウチを殴ったその手……
殴られた痛みよりも、殴った痛みの方がきっと痛かったに違いないと……。

その瞬間、胸に、ウチの胸に、きゅ~って痛みが走った。
それは……殴られた場所よりも、もっともっと遠い、手の届かん心の底が痛んだ。


それから……家庭裁判所に呼び出しをくらい、暫く自宅謹慎を命じられてしまった。